2月某日、親戚の餅つきを手伝う。
” 餅つき ” は年末の行事だと思っていたけど、
場合によっては旧正月につく事もあるそうだ。
ウチの実家も毎年餅つきをする家で、
子供の頃から「餅つきの光景」には
慣れ親しんで育ってきた。
よくテレビのニュースで
”なんとか祭りのイベント” みたいな感じで
餅つきの光景が映る事があるけど、
杵(きね)の先に餅がベッチョリと付いたまま
ベチャベチャとついているのを見ると
『うわ、これはひどいな…』と
思っている自分に気付いたりする。
★ ★ ★
餅つきから学ぶ事はたくさんある。
たとえば「手ぎわ」。
とにかく、餅が硬くならないうちに
すべての作業を素早く的確に終わらせる。
蒸した餅米を臼(うす)に入れた瞬間から
カウントダウンが始まるイメージ、って言うか。
とにかく、餅は待ってくれないのだ。
そして「下地作り」。
餅をペッタンペッタンとつく前に、蒸した餅米を
杵ですりつぶす ” コツキ ” と呼ばれる地味な作業がある。
これがけっこう力がいる。
「餅つきでは ” コツキ ” が一番大事だ」と
子供の頃オヤジが教えてくれた事があった。
やっぱり、何事も「下地」とか「土台」が
大事なんだな、と思いながらコツく。
そして「モノのあやつり方」。
餅、という重みと粘りと弾力のある物体をうまくあやつる。
杵や臼にくっつかないように
適度な水分を補いながらクルクルッと、ペロリンッと。
そして「息を合わせる」。
” 合いの手 ”の人とリズムを合わせる。
ゆっくりとメトロノームのように一定に、と
自分に言い聞かせるけど
乗ってくるとついつい速くなってしまったり、
疲れると遅くなったりして
”合いの手 ”の人に不安感を与えてしまったりする。
で、「肩の力を抜く」。
力んでいたらすぐに疲れてしまう。
グリップの握りだけ意識して、
頭上から下ろしてくる杵の重みを
そのまま素直に餅に伝える。
ミートする感じ。
うまくミートするといい音が出る。
サッカーをやっていた時、何かの拍子に
軽い感じでスーン!と
地を這うシュートが打てた感じを思い出す。
バッティングセンターで、
疲れてきた頃に偶然すごく軽い感じで
スコーン!と絶妙にミートできた事を思い出す。
★ ★ ★
日々の仕事は、体全体を使う仕事ではないけれど、
指先の作業の中に「体を使ってる感じ」を意識するのも確かだ。
たまに餅をつくと
「体を使ってモノを作る」って感覚を再認識できて面白い。 |