１１月と１２月の作品展示のために
新作のマスクを作りました。

テーマは「グレート赤まむし」。

グレート赤まむしというキャラクターは
カミロボプロレス界にも存在しますが、
もともとは僕が学生プロレスをしていた時に生み出した
オリジナルキャラクターでした。

「赤まむしドリンク」の
荒々しい滋養強壮的イメージと言うのでしょうかね。

「赤まむし」という言葉に
可笑しみを含めたカッコ良さを
感じていたんだと思います。当時の僕は。

ドリンクのラベルに描いてあった龍の絵も良かったしね。

なので、当時何種類か作った赤まむしマスクは
色使いや形がどんどん変化していっても
「頭頂部に龍のご神体をくっつける」ってのを
デザインの決め事としながら作っていました。

今こうやって当時の写真を見てみると
恥ずかしさで背筋がゾゾッとなるのですが（笑）
まぁこのあたりのエピソードはササッと済ませて
話を次に進めていきましょう…

　　　★　　　　　★　　　　　★

その後も、グレート赤まむしは僕の心の中から
姿を変えてはたびたび登場していて、

例えば、造形会社に就職した時、
最初のボーナスで職業用ミシンを買って
ワンルームのアパートで我流のマスクを作り始めた時も、

怪獣造形で使うラテックスという素材を
マスク制作に取り入れる実験をした時も、

特撮造形での衣装制作の技法と
縫製の技術を組み合わせる実験をした時も、

僕はいつも「グレート赤まむし」をテーマに
マスクを作っていたのでした。

だから今回も、従来のマスク制作の「その先」を
模索するのならば、やはりグレート赤まむしで…

というワケで、最後に作った時から約２０年の時を経て、
今改めて「グレート赤まむし」をテーマに
自分なりの新たな仮面表現に挑戦することにしたのでした。

　　　★　　　　　★　　　　　★

…と、ここまでは良かったのですよ。ここまではね…。

あれこれとイメージを膨らませている時間は
無責任に楽しかったのですが、
実際に手を動かして作り始めてみたら
これが全くカタチにならない…

本当にツラかった…　途中で３回くらい
「もうここで断念しようか…」と思ったもんね。正直な話。

「目を閉じた時にフワ〜ッと見えたイメージを形にしたい…！」と
意気込んで制作を開始したものの、
いかんせんそのイメージがあまりにも曖昧だったためか（笑）
作り始めてみると気持ちばかりが空回りしてしまって
なかなか思うように進まないんですね…。

無理に手を動かしても全然納得する感じにはならず、
ゴミ箱に失敗の山を築きながら
いたずらに時間ばかりが過ぎていき、
そんな状況に焦るとまた思考が停止して
手が止まってしまうという悪循環に陥る始末…

「ウンちゃんブ〜」の歌も最初に２回くらい唄ったけど、
後になるとそんな歌を唄う気力も無くなってしまった…

これは困った…　どこに進むと答えが見えてくるのだろうか…

理想としては、あとで振り返った時に
「２０１５年の秋、俺は思うところあってあのマスクを作ったのだ」と、
心の中に一つザクッと「くさび」のような印を
打ち込めるような作品を作りたい…　と思うのだけど…

ん？　くさび？

あれ？「くさび」って、こういう時に使う言葉じゃなかったか？と
ちょっと調べてみたりしてみる。
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【くさび】

堅い木材や金属で作られたV字型または三角の道具。

その用途として

１.物を割る
２.物と物とが離れないように圧迫する

というまったく異なる目的がある。

修辞技法としては、割る意味で用いられる事が多く、
例えば、仲の良い両者の関係を悪くするような場合に
「二人の間にくさびを打ち込む」などと使われる。

しかし、くさびを打つ事には
接合を強固にするという目的もあり、
この意味で用いられている場合は正反対のことになる。
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とのこと。

なるほど。真逆の意味の両方に使う言葉なのか…

ほほう…　これは面白いぞ…

これを今の自分に例えてみるならば…

この先もマスクを作っていく中で
ある意味ではマスクの既成概念と決別し、
またある意味ではマスク表現の可能性を
今まで以上に深く追求していくのだ、という事か…？

これ、良いんじゃないですか！
見えてきたんじゃないですか！

お！　だったらちょっと待てよ！

デザインを模索する過程で
NGの型紙を大量に切り抜いた果てに
なんとなく方向性として見えはじめていた
この「三角模様」のデザインは
潜在意識の中で僕が求めた
「くさび」ということだったんじゃないか…？

おお〜！　繋がったぞ！

よし！見えた！

あとはひたすら完成を目指すのみ！

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…というワケで、本当に手間暇かかりましたが
なんとか完成しました。

前半苦しんだ分、後半はほとばしる感情に任せて
一気にダァーッ！とミシンで縫いまくってやりましたよ。

赤まむしお約束の「ご神体の龍」は
新たな表現を研究して
抽象的なイメージで作ったのですが、
これはこれで今の心境には
とても合っていたのではないか、と思っています。

（画像はすべてクリックで拡大できます）
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完成したマスクは京都府庁にて開催される
デザイナーの仕事・展 ２０１５にて展示します。

ぜひ実物を見ていただければ、と思います。

「デザイナーの仕事・展 ２０１５」

日時　２０１５年　１１月１日（日）〜１１月４日（水）
　　　午前１０：００〜午後５：００　入場無料

会場　京都府庁旧本館２階「正庁」
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さらに１２月以降（来年１月以降か、現状ではまだ未定ですが）
東京でのカミロボ展示の際に
このマスクも展示する予定です。

こちらもまた詳細決まりましたら告知させていただきます！