はじめての陶芸
2014年11月19日
 

Kami-Robo知り合いのギャラリーから声を掛けていただいて、
人生初の陶芸をすることになりました。

陶芸は前から興味があったものの
さすがに敷居が高くて断念していたジャンルだったので、
これは本当にありがたいお誘いでした。

しかも、いきなり陶芸のグループ展に出品することになり、
材料や技術について教えて下さる先生まで紹介してもらって、
なんだか至れり尽くせりな展開に。

でもね、実際やりはじめてみると、
自分の思うようなカタチを作るのは容易な事ではなく、
そこから挫折と試練の日々が始まったのでした…

   ★     ★     ★

僕に陶芸を教えてくれたのは
陶芸作家のDAISAKさんという青年です。

彼は安斎肇さんが陶芸の展覧会をされた時にも
サポートされた作家さんで、
工芸的なジャンルに身を置きながらも
枠組みに縛られない自由人と言うか、
不良陶芸青年と言うか(←褒め言葉)
まぁそういう人だったから
なんでも我流でデタラメに突っ走ってしまう僕なんかでも
ドーンと受け入れてくれるので、
結果的にとても良い流れで
自分よりもずいぶん年の若い陶芸の師匠ができたのでした。

僕は昔から先生の言う事を聞かずに暴走するところがあって、
例えば美術学生時代に写真の授業があったのですが、
モノクロフィルムのプリントを習っていた時に
どうしても合成写真を作りたくなって、

(当時はまだデジカメやパソコンが普及していない時代)

現像したフィルムをカッターで切り抜いて
自分の顔写真と長靴の写真を組み合わせていたところ、
写真の先生に見られて「お、お前、何してるんだ!」と
驚かせ&呆れさせてしまった事があって…

…なんて話をDAISAK師匠にしたところ、師匠は

「あ、僕は学生時代、本焼きが終わった陶器に
 ラッカースプレーを吹き付けて
 先生にメッチャ怒られた事があります」

なんて言っていたので、
あぁ、これは頼もしいな、と(笑)、
不良先生にフルパワーでぶつかっていく事に決めたのでした。

   ★     ★     ★

…と、そこまでは、
新しい事が始まるワクワク感でいっぱいだったのですが、
えー… 繰り返し書きますが、世の中はそんなに甘いもんではなく、
実際に陶芸用粘土を触ってみると
これがねぇ、思うようにカタチにならないのです…

正直なところ、最初はちょっとお気楽な気持ちだったのです。僕は。

粘度素材で言うと、油粘土だったらずいぶん前から使っているし、
数年前からは瓦粘土を使った造形もしているし、
陶芸粘土もちょっと慣れたら
おそらくイイ感じでやっつけられるんじゃないか、と
気楽に思っていたのですよ。

しかし当然の事ながら造形の神様は
そんな舐めたヤツにはガッツリと試練を与えて下さるワケで(泣)
場面場面でいろんな失敗をしてしまうワケです。

とにかく、イチイチ失敗するのです。

僕がやろうとしていた事が
陶芸のセオリーを無視した事だったようなので、
失敗は試行錯誤の一環と考えたら仕方がないのですが、
でもやっぱり「土」だったり、
「水」だったり「重力」だったり、
とにかく、自然現象の前に簡単に屈してしまうのです。

でもちょっと待てよ、
俺だって造形の仕事を20年やってるんだぜ、
今まで様々な素材を扱ってきた俺が
今さらなんでこんな素朴な素材を
ねじ伏せられないんだ…って焦るんだけど、
自然の素材ってのはケミカル系の素材みたいに
素直に人間の言う事を聞いてくれないんですね…

これはねぇ、すごい敗北感ですよ。

無力なんですよ…自分が。

でもね、これが意外と気持ちが良い。

俺、今、生きてる… って感じ。(←なんだそれ)

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そしてようやくこの辺で
自分の考え方が間違っている事に気付きはじめるワケです。

今回初めて気がついたのだけど、
僕は知らず知らずのうちに
モノ作りを「減点法」だと解釈していたようです。

発注された仕事の場合だと特にそうなのですが、
モノを作るという事は
まずは完成のクオリティイメージありきで、
それに対して作業中の微細な失敗をマイナスしながらも
限られた時間の中で
最終的にいかに高得点をキープできるか…みたいなものだと、
知らず知らずのうちに思っていたようなのです。

しかし、初挑戦の陶芸は全然違ってましたね。

陶芸初体験の僕なんかが
偉そうに語るのは恐れ多いのですが、
でも、造形の仕事を長くやってきて、なおかつ
陶芸に初挑戦した素人のシンプルな驚きとして言えることは、
陶芸ってのは、釉薬かけて1200℃ で焼いた結果は
神様にしか分からない、って事を受け入れて進める造形だってこと。

確かに、経験値によってだいたいの結果は
コントロールできるんだろうけど、
でも最終的には釉薬の反応によるハプニングや
偶然性までが加味されたり、
場合によっては窯の中で粉々に爆発してしまったり…

どんな結果が待っているか、
ササッとシミュレーションしてみたら
分かるようなものではなくて、
実際に手間暇かけて作ってみて
灼熱の窯に放り込んでみないと分からないんです…

最初のうちは、この感覚を持ちながら作業を進めるのは
本当に大きなストレスでした。

しかし、一旦心を開いて受け入れてみると、
これがとても新鮮で面白い。

Kami-Robo
Kami-Robo
Kami-Robo
Kami-Robo
Kami-Robo
Kami-Robo

そういえば、勝新太郎の名言に
「偶然完全」というのがあって、それは確か、

「テクニックで生まれる完全などない。
 完全なんて偶然からしか生まれない」

というような意味だったと思うのだけど、
なんかその言葉の重みを感じましたね…

思い返してみると、やっぱり僕は、
造形ってのは予定調和の完成イメージに向かって
道具を服従させ、素材をねじ伏せて進めるものだと、
無意識に思っていたのかもしれません…

さて、そこからはバガボンドの宮本武蔵のごとく(笑)
自然を受け入れ、あるがままに…

って、そんな難しい事はなかなかできないのだけど、
まぁ、そんなふうにできたらいいなぁと、思いながら
一つ一つカタチにしていきました。

というワケで完成画像です。
(クリックで拡大できます)

こんな感じで作りました。

途中いろいろあったけど、なんとかこんな感じで…

   ★     ★     ★

陶芸のグループ展 Trancepop Presents「Ceramic Party」は
11月19日(水)から12月14日(日)まで、
京都・トランスポップギャラリーにて開催されます。
(今回、画像で紹介した作品はすべて販売いたします)

参加されるのは

朝倉世界一さん、小田島等さん、かせきさいだぁさん、
逆柱いみりさん、白根ゆたんぽさん、(五十音順) 

そして僕です。

まぁ、今回のは直接カミロボとは関係ないのですが、
一人の人間がやっていることは
どこかで地続きだったりするので
ご紹介させていただきました。

…もしや、これがカミロボ居酒屋トークで
S氏が言ってた「安居智博=カミロボ説」って事か…?

 

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